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children 子どもの矯正

乳歯列期の矯正治療 PRIMARY DENTITION PERIOD

通常、乳歯列は3歳頃全部の乳歯が生え完成します。そのときに反対咬合(受け口)、交差咬合(下顎側方偏位)や開咬(前歯が噛み合ない)といった不正咬合がある場合、矯正治療にて改善することをお勧めします。子ども達は離乳食から普通食へ食事が変化し食べる機能の獲得、同時に飲むことや話す機能も獲得していきます。この大切な時期に不正咬合があれば、矯正治療で改善し機能獲得の手助けをするべきと考えております。

この時期の矯正治療では、あまり負担をかけぬよう取り外し可能な装置(可撤式装置)を就寝時のみ使用します。先ずは治療効果に関わらず1年間の治療していきます。治療後、改善がみられた場合には上下顎永久前歯の生え換わりまで経過観察を行ないます。改善がみられない場合には、装置の種類を変え矯正治療を継続延長いたします。

はんたいこうごう 反対咬合(受け口)の症例

反対咬合(受け口)とは、下の前歯が上の前歯より前方に出ている噛み合わせの状態です。この状態が続くと、顎関節に負担がかかり、顎がしゃくれてしまうだけでなく、咀嚼や発音にも支障をきたします。

反対咬合の症例を詳しく見る

こうさこうごう 交差咬合(上下の咬み合わせが一部逆になっている)の症例

交差咬合は、上下の歯列が正しく噛み合わず、噛む際に下あごを左右にずらさなければならない状態です。この状態が続くと顎の成長や顔の形に影響を及ぼす可能性があるため、早期の治療が重要です。

交差咬合の症例を詳しく見る

前歯の多少のデコボコを改善するには?

Leeway Spaceの
コントロールで改善

第1乳臼歯・第2乳臼歯の後に生え変わる永久歯の第1小臼歯・2小臼歯は、乳歯に比べ小さい歯が萌出するので、その際できる隙間(Leeway Space)を上手にコントロールすることで、前歯に存在する僅かなデコボコであれば改善することができます。

前歯のデコボコの改善の
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欠損歯がある場合には?

全体のバランス、歯の移動方向などを考えながら診断します

生まれつき永久歯の数が少ない方がいます。欠損の発生頻度が高い部位としては、下顎側切歯(前歯)、次いで下顎第2小臼歯(中間歯)と言われています。下顎側切歯が欠損している場合、多くは乳切歯が脱落してしまうことが多く、乳切歯を代用することができません。そこで、矯正治療により欠損部位に対し隙間を開けるか閉じるのかを、口元やお顔全体のバランス、歯の移動方向などを考えながら診断しなければなりません。
下顎第1小臼歯が欠損している場合、第2乳臼歯は残存することが多いです。そこで、第2乳臼歯の両脇を削り、本来生え変わる永久歯の大きさに近づけることで歯のバランスを整え、矯正治療を行います。

下顎前歯1本欠損の状態、欠損部を閉じた症例

下顎前歯が3本しかなく、上下顎の歯の本数の調和がとれません。この患者さんは、口元の突出感より、隙間を空けることなく前歯3本の状態で矯正治療を行なうことにしました。その結果、奥歯の噛み合わせを本来の位置よりも多少ズレた状態で治療を終了しました。

下顎前歯1本欠損、欠損部を
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下顎前歯1本欠損の状態、
隙間を開けた症例

下顎前歯が3本しかなく、上下顎の歯の本数の調和がとれません。この患者さんは、口元の突出感はなく、欠損部の隙間を開けて矯正治療を行ない、その後、隙間にはレジン歯(緑丸・プラスティック製の歯)を接着しました。その結果、奥歯の噛み合わせを本来の場所に位置付けることができました。

下顎前歯1本欠損、
隙間を開けた症例を詳しく見る

下顎第2小臼歯欠損の場合

下顎第2乳臼歯の次に萌出予定である、下顎第2小臼歯の欠損を認めます(緑丸)。通常、この部位では乳歯よりも永久歯の横幅が小さいです。よって、その部位での乳歯が残存することで上下顎の歯の大きさ(横幅)の調和がとれません。この患者さんは、下顎第2乳臼歯の両脇を0.25-0.3mmの範囲内で僅かに削合し、上下顎での調和を図り矯正治療を行ないました。尚、冷たいものがしみたり、痛みを認めることはありません。 下顎第2小臼歯欠損の症例を
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成長を利用した矯正治療 TAKE ADVANTAGE OF GROWTH

小学生からの矯正治療

矯正治療は、若年者で成長発育がある時期に行なうことが有利だと考えられています。それは、体の代謝活性が良いため歯の動きが比較的速く、歯肉や歯を支える骨などのダメージが少なくてすみます。また、矯正治療中の痛みも成人と比べると非常に弱いです。

この時期の矯正治療は個人差はありますが、あまり苦にならず効果的に治療をすすめることが可能です。さらに、上顎と下顎とでは、成長発育の発現時期が異なります。不正咬合の状態によって、最良の治療開始時期を決定することが重要となります。

成長を利用した矯正治療

矯正治療は、若年者で成長発育がある時期に行なうことが有利だと考えられています。それは、体の代謝活性が良いため歯の動きが比較的速く、歯肉や歯を支える骨などのダメージが少なくてすみます。

また、矯正治療中の痛みも成人と比べると非常に弱いです。この時期の矯正治療は個人差はありますが、あまり苦にならず効果的に治療をすすめることが可能です。さらに、上顎と下顎とでは、成長発育の発現時期が異なります。不正咬合の状態によって、最良の治療開始時期を決定することが重要となります。

上顎と下顎では、成長発現時期が異なります。縦方向にグラフが伸びている時には、成長が盛んで、横方向にグラフが伸びている時には、成長があまり出現していないことを意味します。このグラフより、上顎は下顎と比べ早期に成長が終了し、下顎は思春期(12歳頃)に再度成長が出現することがわかります。

period 矯正治療開始時期の考え方

混合歯列(大人の歯と子供の歯が混ざった状態)から永久歯への生え変わり終了時期、すなわち小児矯正のゴールは11~12歳で、そこまで管理することが重要だと考えています。前歯歯根の成長完成は10歳前後で、歯根未完成時期にハリガネ矯正を行うことは歯根成長の阻害、歯根湾曲を招く場合があります。当院ではハリガネ矯正を行う直前にレントゲン写真にて歯根の状態を確認します。

あまりにも早期にハリガネ矯正治療を開始することは、治療途中に歯の生え変わりを待ち、無意味な治療の長期化が考えれ、モチベーションの低下を招くことが考えられます。

そうせい 叢生 (歯並びがガタガタ) の治療例

骨格には前後的な不調和がないため、歯の萌出スペースの確保を考えることが矯正治療の目標になります。歯の萌出スペースの確保には、横方向への拡大、前方向と後方向への歯の移動の3通りが考えられます。考慮する事項としては、成長発育がまだ大きく出現せず、お口の中が小さい状態では前後左右に歯を移動させることができる歯槽骨がありません。

ある程度、成長発育が出現してお口の中が大きくなってくる状態で、歯の移動を考えることが良いと考えます。単にデコボコ(叢生)だけの状態であれば男女児で差はありますが、小学校4年生頃から矯正治療を開始しても十分に改善可能です。

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じょうがくぜんとつ 上顎前突 (出っ歯) の治療例

上顎前突症(上顎の骨や歯が前方に出ている状態)の治療になります。上顎奥歯を後ろに動かして、上顎の出た感じを軽減することが矯正治療の目標になります。顔面の成長は頭蓋骨を基準としてみると、全ての器官は前下方へと成長することが確認されます。そこで治療としては、ヘッドギアを使用して上顎奥歯を止めておけば、顔面の前下方への成長により上顎奥歯は相対的に後ろへ移動したこととなり、治療効果が現れ改善していきます。

重度な上顎前突症であればヘッドギアを使用する期間を長くしたいので、小学校3年生の夏頃から矯正治療を開始をすることを考えます。あまり状態がひどくなければ、小学校4年生頃から矯正治療を開始しても十分に改善可能です。

出っ歯の治療例を詳しく見る

かがくこうたいしょう 下顎後退症 (下顎の骨や歯が後方に下がっている状態)の治療例

後方に位置している下顎を前方向に成長誘導させることが矯正治療の目標となります。この不正咬合は上顎の横幅が狭く、下顎奥歯が前方に傾いていることが、下顎を前方向に成長しずらい状態にしていると考えています。矯正治療としては、上顎の横方向への拡大、下顎奥歯の整直を行い、下顎の前方成長誘導がしやすい状態にした後、下顎前方誘導装置を使用します。

小学校4年生頃から矯正治療開始すれば良いのですが、下顎の前方への成長発育誘導は、成長発育出現のピーク時、あるいはその後が効果的と言われています。また上下顎小臼歯が萌出しない限り下顎骨の前方位は安定しないと考えています。よって治療期間の長期化が考えられます。

下顎後退症の治療例を詳しく見る

はんたいこうごう 反対咬合 (受け口) の治療例

反対咬合では多くの場合、上顎骨の前後的な成長不足が認められます。よって、上顎骨の前方成長誘導が矯正治療の目標となります。上顎骨の成長は下顎骨の成長と比べ、比較的早期に減衰していくと言われています。積極的な矯正治療には少し早い気がしますが、上顎骨にアプローチするため上顎前方牽引装置を使用する場合、小学校2.3年生頃が上顎骨の前方向への牽引に効果があり、当院ではこの時期に矯正治療を開始することが良いと考えています。

小学校6年生.中学生からでは上顎骨の前方への成長誘導はあまり期待できず、同時に下顎骨の思春期成長が起こり始め、治療効果は現れにくいと考えています。

反対咬合の治療例を詳しく見る

骨格的問題の改善を必要とする症例

上顎前突のひとつである「下顎後退症」は下顎の前方への成長誘導が治療の目標となります。下顎後退症の特徴として、上顎骨幅径が狭窄し下顎骨の前方への成長が抑制されていることです。上顎骨の拡大後、上下顎歯をハリガネ矯正で並べていきます。そうすることで、下顎骨を前方に位置付けることを容易にし、その後下顎骨前方誘導装置を使用して、下顎頭の骨添加による下顎骨前方成長を期待します。

下顎後退症の症例を詳しく見る

かがくぜんとつ 下顎前突(受け口)の症例

上顎骨の前方への成長誘導が治療の目標となります。下顎前突は、下顎骨自体が大きかったり前方位にあることが考えられますが、それと同時にほとんどの場合、上顎骨の前方への成長不足を認めます。先ずは上顎骨前方成長を期待し、上顎前方牽引装置を使用します。骨格の改善が起こり前歯の噛み合わせが治った後、ハリガネ矯正で上下顎歯を並べていきます。

下顎前突の症例を詳しく見る

かがくそくほうへんい 下顎側方偏位(上下の歯の真ん中が左右にずれている)の症例

下顎骨の正中への整位が治療の目標となります。下顎骨自体が左右非対称な形態をしている場合と、左右対称な下顎骨が偏位している場合が考えられます。前者では、矯正治療では下顎骨自体の形態を変えることはできないため、矯正治療単独では治療効果は得られにくいので、成長発育終了後手術を併用した矯正治療が必要となる場合が多いです。

後者は下顎骨の位置に問題があると考えられます。多くの場合上顎骨幅径の狭窄、噛む面の傾きや奥歯の傾きに不正が認められます。それらの問題を改善することで下顎骨の位置を整えていきます。ですが治療としてはかなり難しく、必ずしも予定していた下顎骨の改善が期待できるわけではありません。患者さん反応を確認しながら治療をすすめていく必要があります。

下顎側方偏位の症例を詳しく見る

POINT 当院の小児矯正におけるポイント

POINT IIIC期を治療終了と
している理由とは?

一般的な小児矯正では、最初に口の中(歯が並ぶ土台の骨)を横に広げ、その後に奥歯を後ろに動かして、最後に上下の前歯4本の位置を整えて終わります。その点、私たちは6番目(第一大臼歯)から6番目の歯を並べて終わる時点(永久歯が生え揃った時期・IIIC期)を、小児矯正治療の終了として設定しています。

なぜこの方法を採用しているのかというと、乳歯から永久歯へ生え変わる際にスペースが不十分で歯並びがガタガタになったり、第二小臼歯が90度回転して出てきたりする場合があるからです。歯列の細かい調節を全体的に見て行うために、永久歯が揃うIIIC期で治療を終了しています。

小児矯正を中断する
ケースもあります

上記項目の考えを基に、「もともとガタガタが著しいお子さん」の治療を行う場合は、これ以上は小児矯正治療で歯を動かすことができないことをお伝えしています。

その段階でガタガタを整えても、成長の過程で再び歯並びが悪くなる可能性があるためです。そのため著しいガタガタのケースでは、まずは前歯を並べるだけで終了か若しくは、前歯も並べずに終わらせて、永久歯が生え揃ってから大人の矯正へ移行しています。

POINT 前歯排列の時期の治療

前歯に矯正器具(ブラケット)を付ける時期は、上顎前歯の二番目の歯(側切歯)を矯正治療で三次元的に歯を動かすのに適切なタイミングである必要があり、歯の根の成長を考えて開始しなければなりません。歯の根の成長が未熟な状態で動かすと、根が曲がってしまったり、あるいは歯の根の成長を止めてしまったりということが考えられるからです。

当院長の考えとしては、最低でも8割ぐらいの歯の根の成長が済んでいることが、歯を動かす条件であり、前歯排列は大体小学校3年生以降に前歯に装置をつけることになります。稀なケースとして、上顎の一番目の歯(中切歯)の真ん中に隙間が開いており、それをご両親が心配して閉じてほしいと訴え、前歯に装置を付けている場合があります。しかし、院長の考えでは「やはり歯の根のことを考えれば、治療は少し待っていてもらいたい」というのが本音です。

また、二番目の歯(側切歯)を動かせる時期になっても、今度は骨の中で糸切り歯(犬歯)が邪魔をしているケースは少なくありません。二番目の歯を無理に外へ出したり、根を動かしたりすると、骨の中で三番目の歯とぶつかることになるのです。
歯冠(歯茎の上から出ている歯)はエナメルスというガラス質でできており、歯の根はセメント質という軽石でできています。それが骨の中でぶつかってしまうと、二番目の歯に大きなダメージが加わり、歯の根がなくなることが予測されるのです。そういったリスクを考えると、やはり早い段階で前歯だけを並べて終了ということはできないことになります。

生え変わりによって
できるスペースの活用

お子さんの矯正治療におけるメリットの一つに、歯の生え変わりによってできるスペースの活用があります。特に下顎のD(第一乳臼歯)とE(第二乳臼歯)の次に出てくる第一小臼歯、第二小臼歯は、乳歯よりもサイズが小さいため、それをスペースとして扱えるのです。例えば、出っ歯(上顎前突)の治療に関しては、上顎のEとよばれる第二乳臼歯から大人の第二小臼歯に生え変わる時にできる隙間を利用しなければ、子どもの矯正ではしっかりと治療をすることはできません。

加えて、上顎前突のお子さんの歯を早い時期に並べて治療を終了すると、奥歯の噛み合わせを考慮していないため、新たな問題が発生する可能性が考えられます。その他、糸切り歯も含めて前歯に多少のガタガタがあったとしても、上手にその歯の生え替わりによってできた隙間を利用して動きをコントロールすれば、将来抜歯をせずに歯を並べることができます。

FLOW お子さんの歯を移動させる順番について

不正咬合は歯が前後にずれているだけでなく、捻じれているなど、3次元的な問題も関わってきます。そのため、骨を横に広げるだけでは、ガタガタの歯の治療に必要な隙間を確保するのが難しいのです。
口内の成長の順序に合わせて、適切に歯を並べていく必要があります。

  1. 歯の土台を横に広げる

    お口の中はまず横に広がっていくため、それに倣って歯を並べる土台である歯槽骨を、横方向に動かしていくのが、小児矯正の第一段階です。
    時間をかけて徐々に歯列を広げる緩徐拡大床ではなく、短期間で上顎の全ての歯列を広げていく上顎急速拡大装置を利用します。

  2. 土台を前後に広げる

    思春期に入ってくると、お口の中は前後に奥行きが伸びていき、思春期以降になると高さが増していくようになります。この時期には、主にヘッドギアを使用して、口腔の成長を促していきます。(寝るときに装着します)

  3. 歯の動的治療が
    行えるスペースができる

    この段階までくると、多くのお子さんは歯を動かすスペースが取れます。永久歯への生え変わりでできた隙間を利用して、ブラケット矯正によって全体的に歯を並べられる可能性が高まり、抜歯のリスクを抑えることができるのです。

当院では上記のように子どもの矯正治療の流れを考えており、簡単に1年半ほどで終了させることはいたしません。
骨格の成長、歯の生え変わり、歯根の成長を見ていけば、やはり4年生から6年生までの期間が必要になります。

各時期における
「小児機能発達不全症」
からのアプローチ

矯正相談には、乳歯列の小さなお子様が来院されることもあります。反対咬合や交叉咬合など特殊な咬合状態を除き、まずは経過観察を行い、適切な治療開始時期を見極めた上で治療の提案を行います。しかし、「小児機能発達不全症」が見られる乳歯列のお子様には、その段階からリハビリテーションを行い、不正咬合を予防する措置を講じることが必要だと考えています。それでも不正咬合が生じた場合には、当院の主軸である歯科矯正治療を提供し、改善に努めます。
小児期の不正咬合の改善は、第一期治療のみで終了する場合もありますが、第二期治療が必要になることもあり、その際には便宜抜歯を伴う治療が行われることも少なくありません。この点については、あらかじめご理解いただければと思います。

矯正治療が終了した後も、歯は生涯を通じて移動し続けるため、噛み合わせの状態を管理するためのメインテナンスが必要です。 通常の保定期間が終了しても、費用はかかりますが、5年ごとに「咬合管理」という名目での通院を推奨しております。メインテナンス中に歯並びの乱れが生じたら、話し合いをした上で再治療をご提案させていただくこともあります。

「小児機能発達不全症」
治療の内容
乳幼児期不正咬合の発症を予防するため、お口周りの習癖の管理を行います。同時に、虫歯や歯肉の管理も行いますが、これらについては主にかかりつけ歯科医にお願いする形となります。この期間の治療費は保険適用です。
小児期(歯管継続)乳幼児期に「小児機能発達不全症」の管理が成功し、不正咬合の発症が抑えられば、不正咬合がないかを引き続き監視します。不正咬合が発症した際には、第一期矯正治療を行います。この期間も保険適用となります。
小児期(第一期矯正治療)乳幼児期にお口周りの習癖管理を行っていたものの、不正咬合が発症した場合、第一期矯正治療を開始します。治療費は自費となります。
小児期(経過観察)第一期矯正治療の結果、不正咬合が改善されたら、高校1年生まで経過観察を行います。その後の検査により、青年期に歯の管理(歯管継続)を行うか、第二期矯正治療を行うかを決定します。
第二期矯正治療後の経過観察第二期矯正治療の結果、不正咬合が改善していれば、経過観察を行います。その後の検査で、引き続き歯管継続を行うか、咬合管理を行うかを決定します。

POINT 左右対称性の重要さとは

小児矯正では、歯の左右対称性も注意をしておくことが大切です。左右の対称は歯の生え変わりで自然に解決できません。矯正治療を通じて、左右差を調節する必要があります。

POINT 小児矯正に
「絶対に抜歯しなくて良い」はない

小児期に矯正治療を受ければ、その後ずっと矯正治療をしなくていいということはありません。小児矯正を行う理由は、成長発育を利用して歯を並べる土台を作ることにあります。その結果、将来的に歯を動かしやすくなります。
しかし、顔貌のタイプやお口元の状態によって、抜歯するか非抜歯にするかの決定要因となります。例えば、お子さんが面長タイプの場合、お口の中の横幅が足りていないことから、抜歯をする可能性が高い傾向があります。その反対に、お子さんがしっかりとした骨格を持っているのであれば、抜歯を避けられるケースが多いのです。

また、お口元が出っ張っているお子さんであれば、将来的に抜歯によって前歯を下げる方法を採用するケースがあります。一方で、もともと口元が下がっているお子さんは、歯並びがガタガタしていたとしても、できる限り非抜歯を目標に治療を行っていきます。
その他、小児歯科の段階では抜歯を診断したとしても、思春期成長の口内の変化によって、歯を抜かなくて済んだケースも実際にはございます。具体的な方法としては、高校生まで待って口内が広がった時に、歯科矯正アンカースクリューを利用して歯を後ろに動かしたり、若しくはIPRといって歯を少し削ることによって治療をしたりといった方法です。小児矯正をしている間に最終的な歯並びを決めてしまうのではなく、お子さんの成長を加味して選択肢を残しておくのが、私たちのスタイルです。

どうしても抜歯が必要というケースも、残念ながらあります。抜歯をすることに抵抗を示すご家庭も存在しますが、無理に歯を並べると歯が歯ぐきから飛び出す危険性もあります。全ての歯を弱くすることにもつながりかねないことも含めてしっかりと説明し、「歯を長持ちさせるために抜歯が必要」であることをご理解いただいております。

POINT 最も負担の少ない
時期だからこそ行う小児矯正

子どもの時に矯正を行うことに力を入れているのは、骨が成長する時期だからこそ、歯が動きやすい点にあります。一例として、受け口(反対咬合)のような骨格異常が原因の不正咬合は、成長が落ち着いて骨が固まってからでは難しく、外科的な処置が必要なケースが多いです。
つまり、骨格を調整できる時期に治療しておくことが重要なのです。また、将来的には歯を抜く必要があるという診断が出ていたとしても、奥歯を下げるという調節をすることによって、第二期治療(歯自体を動かす大人の矯正)時に治療の期間や費用を短縮することが可能です。

POINT 小児矯正後の
第二大臼歯について

小児矯正をすれば大人の矯正は必要がないと思われがちですが、実際にはそれは違います。宮崎台やすい矯正歯科クリニックでは、小学校6年生から中学校1年生で小児矯正を終え、高校生くらいまでの間はお口の管理を行っています。高校生になって第二大臼歯が上下できちんと噛み合った段階で、小児矯正治療は本当の意味で終了です。

しかし、親知らずが生えてくる状態によっては、下顎の第二大臼歯は内側に、上顎の第二大臼歯は外側に出てくるケースがあります。その場合には、まず取り外し可能な装置で歯の位置を調節し、それでも第二大臼歯の噛み合わせがずれるようであれば、高校生以降に奥歯に装置を取り付け、改めて位置を調節する必要があります。このようなケースがあることを理解し、小児矯正後にも歯のコントロールが必要なことがあるとご納得の上で、治療を受けていただければと幸いです。

カリエスフリーを目指した
インビザライン

お子さんの歯を並べる際、まずは拡大装置やヘットギアーなどを使用して、歯を並べる段階でワイヤーブラケットの代わりにインビザライン矯正を行うケースが多くなっています。インビザラインは取り外しができるため、お口のケアがしやすく、エナメル質の構造が未熟なお子さんの歯を虫歯にしにくいという理由からです。だからこそ当院では、虫歯が一本もない状態で歯並びを整えられているお子さんが多い傾向があります。

お子さんがインビザラインで治療をスタートするのは、小学校5年生~6年生の歯を並べる土台が完成した時期です。上乗せで別途費用(15万円)がかかりますが、ぜひとも歯並びをきれい整えつつ、さらにカリエスフリーも目指し、子どもたちの歯を守るという意味で、このインビザラインの使い方を理解していただければ幸いです。 なお、インビザラインは良いことばかりではなく、適応条件があります。

  1. 過蓋咬合

    前歯の噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯に覆い被さり下の前歯が見えない「過蓋咬合(かがいこうごう)」の状態の歯並びは、インビザラインの適用症例外です。

  2. 使用時間

    インビザラインは小児であれば1日16時間以上装着している必要があります。しかし、取り外しができるが故に、お子さんが装着時間を守られないケースがみられます。その場合、治療が予定通りに進みません。

  3. 装置装着の仕方

    歯に軽く装着しているだけでは、歯を移動させることができません。しっかりと歯にフィットするように、はめ込む必要があります。その際、歯と装置を密着させるために、チューイーという補助具を使用します。

  4. 飲み物の管理

    インビザライン装着中は、砂糖成分の入った清涼飲料水等はお控えいただいています。それらを飲む場合は、一度装置を外して飲み、装置をはめる前に必ず歯磨きを行う必要があります。そうしなければ、装置の中に砂糖成分が入り込み、砂糖に歯を浸す虫歯製造機となってしまうからです。

  5. 食事の管理

    おやつを含め食事の際は、その都度マウスピース装置を外していただく必要があります。装着したまま飲食すると、装置を破損する原因となります。

下顎骨の後方位の是正
(インビザラインMA)

上顎前突には、上顎骨または上顎歯が前方に位置する場合と、下顎骨または下顎歯が後方に位置する場合の2つのパターンがあります。当院では、上顎歯の後方移動のためにヘッドギアを使用しています。一方、下顎骨の後方位の是正には、思春期の成長を利用して下顎骨の前方成長を促す治療を行っています。

しかし、下顎骨が著しく後方位にあるお子さんでは、期待される自然な下顎前方成長が得られないことがあり、その結果治療効果が現れにくいことがあります。
このようなケースでは、横顔のレントゲン写真を撮影し、上下顎骨のバランスを確認します。そして必要に応じて、下顎骨の前方成長を促す装置(インビザラインMA)を使用することがあります。初診時の診断で使用を決定することもありますが、治療の進行に応じて使用するかどうかを判断することが多いです。

子どもの親知らずの
抜歯について

親知らずの種(歯胚)は、高校生の時期になればレントゲンで存在がハッキリと確認できるようになります。高校生では上顎の親知らずはまだ高い位置にあるので、早めに抜く必要性はないのケースがほとんどです。
しかし、下顎の親知らずが真横に生えてしまっている場合、一つ手前の第二大臼歯の後面を虫歯にしてしまうリスクがあります。あるいは、その親知らずによって歯並びの後戻りを起こす場合も考えられるため、小児矯正が終了し、高校生になってから、下顎の親知らずの抜歯を検討しなければなりません。多くの場合は、かかりつけ歯科医との相談になりますが、大学生になってから長期休暇を利用して一本ずつ抜くのが、良いタイミングでしょう。